美しい血肉

日々のことが美しくないなんて嘘だ。

Only the dusk of the world is beautiful

ビルとビルの間でわだかまるオレンジの隙間を縫うように、

鳥たちが渡って行く。

空は予感に打ち震えるような、

綺麗なレモン色をした光でいっぱいに充たされている。

 

私は悪い夢を見て迎えた今日が、

それに負けることなく暮れていくことを知る。

 

日々に希望はない。

疲れて萎えた両足と、うすらぼんやりとした頭があって、

私の正常な判断力を奪うのがこの世界なのか、

それとも私自身の愚かさなのかよくわからないでいた。

怒る気力さえ持てず、

ひかり溢れる空を見て、ほうっと息を吐きながら。

 

息は白く、早く灯りすぎた街燈の光をはらんでぼうっと光る。

それはとても健康な魂のように見えたので、

私は少しだけ、満足をした。